イベントが失敗したとき、マーケターが立ち返るべき「たった2つの問い」
イベント施策の失敗経験をもとに、マーケターに必要な“進める力”を言語化した実践的な思考メモ。

1. はじめに
「ああ、失敗したな……」
イベント企画に関わっていると、そう感じる瞬間がある。
想定より申込みが伸びない。周囲の温度感も低い。準備は進んでいるのに、手応えがない。
そんなときにやってくるのが、「このまま進めていいのか?」という、静かな違和感だ。
今回、私が担当していたあるオフラインイベントは、開催を見送る判断となった。
準備を進めていたからこそショックも大きかったが、
同時に「これは偶然ではなく、構造的な失敗だ」と冷静に考えるきっかけになった。
本記事では、その失敗から見えた“プロジェクトの進め方”における落とし穴と、
マーケターに求められる「進行力」についてまとめておきたい。
2. “集客不足”の裏にある構造的要因
当初は、集客手法・訴求文言・媒体選定のミスを疑った。
だが、分析を進めていくうちに、原因はより根本的な2点に集約された。
① 目的とターゲットの曖昧さ
- 「なぜやるのか」「誰に届けるのか」が設計段階で曖昧だった
- 社内での共通認識が不十分なままスケジュールが進行
- 結果として、企画内容・タイトル・登壇内容の整合性が崩れた
② 関係者との役割設計・情報設計の不備
- 営業/登壇者/外部パートナーとの連携プロセスが未整備
- タスク責任が属人的になり、停滞や認識のズレが発生
- 定例会・レビュータイミング・判断フローも不明瞭
表面的には「集客施策が機能しなかった」と見えるが、
実際にはプロジェクトとしての構造設計に欠陥があったといえる。
3. マーケターに必要なのは「進める力」
この経験を通して再認識したのは、マーケターに求められるのは“進める力”だということである。
マーケター=コンテンツ/企画/戦略と思われがちだが、
実際の業務成果は以下3つの総和で決まる。
マーケティング成果=戦略 × 実行設計 × 巻き込み設計
いかに構想が優れていても、実行の段取りや関係者設計ができていなければ、成果にはつながらない。
戦略と現場を接続する“プロジェクト設計力”は、今後さらに求められるスキルだと感じる。
4. 実務で使える問いとフレームワーク
今回のようなケースに直面した際、自分が問い直すべき視点として、以下の2つを挙げたい。
❶ 「この施策の目的は何か?」「誰に届けるのか?」
- What for?(KGI:何を達成したいのか)
- Who to?(ターゲット:誰にとっての価値か)
曖昧な目的とターゲット設定は、すべての設計を狂わせる。
早期に明文化し、関係者間で握っておくべき最重要ポイント。
❷ 「誰が・いつ・何を判断するのか?」
- プロジェクトにおける“意思決定ポイント”の事前定義
- 撤退条件(数値基準)と判断タイミングの設計
- タスク責任者・情報共有ルールの明確化
特にBtoBイベントのような複雑なプロジェクトでは、進めながら考えると判断が遅れる。
“開始前の設計力”こそが、実行をスムーズにする。
5. おわりに
マーケティングは「華やかな施策」ではなく、「戦略を構造に落とし、実行を担保する設計業務」だと再認識した。
今後も、企画力や戦略力だけでなく、プロジェクトを前に進める力を高めていきたい。
同じように「進め方」に悩んでいるマーケターの方の参考になれば幸いです。

なつ
好奇心多めのマーケター。旅行が大好き!