上司が一目で判断できる状態をつくる ― 外部メルマガ施策検討の実務から

「外部メルマガで集客をしたいので、候補を並べました!」
部下から上がってきた案を見て、違和感を覚えることがあります。
悪くはない。けれど、このままでは判断ができない。
マーケティング現場でよくあるのは、“候補リスト”で終わってしまい、意思決定の材料にならない ケースです。
ありがちな落とし穴:「候補出しがゴール」になってしまう
部下は「選択肢を提示すれば仕事は終わり」と考えがちです。
でも、上司が本当に求めているのは「候補の説明」ではなく、**比較と根拠(=意思決定の判断材料)**です。
たとえば「費用100万円で15件リード見込み」と書かれていても、
- その数字はどうやって出したのか?
- 他の媒体と比べて相対的にどうなのか?
- 最終的にアポ獲得コストは許容範囲か?
が分からなければ判断できません。
判断材料にするためのシンプルな流れ
外部メルマガ施策の効果を試算するなら、以下の分解が基本です。
- 配信数
- 開封率(過去実績ベース)
- CTR(過去実績ベース)
- 申込率(クリック→申込転換率)
- アポ化率(仮置き一律)
計算式はこうなります:
配信数 × 開封率 × CTR × 申込率 = 想定リード数
想定リード数 × アポ化率 = 想定アポ数
シミュレーションは「比較と根拠」が見える形に
数字を並べるだけではなく、検討の経緯がわかるExcelシートに落とし込むと、意思決定が一気にしやすくなります。
今回つくったシートは、次の4つの観点が一目で分かる構成です。
施策名 | 費用 | 配信数 | ① 1通単価 | 想定リード数 | ② リード単価(CPL) | ③ 想定アポ数 | ④ アポ単価(CPA) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Aメール配信 | 475,000円 | 30,000通 | 15.8円 | 27件 | 17,593円 | 5件 | 95,000円 |
Bパーソン配信 | 1,000,000円 | ー | ー | 15件 | 66,667円 | 3件 | 333,333円 |
Cナビ配信 | 300,000円 | 30,000通 | 10円 | 25件 | 12,000円 | 5件 | 60,000円 |
D社のクリック課金型配信 | 550,000円 | ー | ー | 25件 | 22,000円 | 5件 | 110,000円 |
この構成で見えること
- ①1通単価:媒体のコスト感
- ②リード単価(CPL):施策間で比較できる数値
- ③アポ獲得数:商談機会がどれだけ生まれるか
- ④アポ単価(CPA):自社の基準内かどうか判断できる指標
つまり、上司はこの表を見れば 「どの施策に投資すべきか」 を即断できます。
実務からの学び
今回の経験を通じて改めて感じたのは:
- 上司が欲しいのは「候補の説明」ではなく 「比較と根拠(判断材料)」
- 部下には最初に 「候補出しがゴールではない」 と伝えるべき
- 考えるためのシンプルなフローと、判断しやすいシート構成 を渡せば、部下も迷わず進められる
まとめ
マーケターの仕事は「施策を並べる」ことではなく、
意思決定が速く正しく行えるように、判断材料を揃えること。
特に、1通単価、リード単価、アポ数、アポ単価。
この4点を押さえたシミュレーションシートは、施策判断材料の可視化に有効です。

なつ
好奇心多めのマーケター。旅行が大好き!